人気ブログランキング | 話題のタグを見る

JYJの妄想小説ブログです。妄想小説が苦手な方は閲覧しないでください。JYJも妄想も好きな方は是非どうぞ(^^)気に入ってもらえますように(*´∀`)


by 凛

プライド 第10話

*2014年 6月 東京*

彼女は優しい表情で何かを見つめている。
俺は、彼女のこういう穏やかなところが好きなんだよな。

「美桜、何見てんの?」
「ん?あの子たちが初々しいなぁ…て思って。」

彼女の視線の先を見ると、若い男女がいた。
二人とも大学生だろうか。
どこからどう見ても付き合いたてのカップルだ。

男の方の手を見てみると、必死に手を繋ぐ機会をうかがっている。
女の子は、男と手が触れるたびに照れくさそうにしている。

「たしかに初々しいな(笑)」
「でしょ?」
彼女はそう言って、懐かしいものを見るような目でそのカップルを見つめた。
「美桜にもああいう思い出があるの?」

あのストラップくれた男との…。

「誰にだってあるんじゃないの?
…あ、早くしないと映画始まっちゃう!」
「うわ、ホントだ!昼飯食った店でゆっくりしすぎたな。ちょっと急ぐか。」
「うん。」



美桜とは、1年前合コンで知り合った。
全く行く気のなかった合コンだったけど、美桜に会えたのが大収穫だった。
同い年で、周りから結婚を急かされている人間同士話があった。

穏やかな性格・仕事に誇りをもっている姿に惹かれるまで、あまり時間はかからなかった。


付き合い始めてからも、彼女の印象に変化はなかった。
穏やかで、仕事に誇りをもっていて、芯が強くて…。

けれども、一つだけ引っ掛かることがある。

美桜は、全くといっていいくらい自分の話をしない。
俺の話は何でも聞いてくれる。
俺を立ててくれる。
でも、俺に一切頼ってこない。

この前、腐れ縁の奴にこんな話をしたら、
「良い彼女じゃん!
贅沢言いすぎなんだよ!その彼女と結婚できなかったら、お前一生独り身だぞ!早くプロポーズしろよ!」
と説教されてしまった。
アイツの言うことは正しいけど、『俺は美桜の何なのだろうか…』と時々思う。

美桜のプライベート用のケータイには、少し古びたストラップがついている。
美桜の誕生石のサファイアがついているストラップだ。

そのストラップの話をふってみると、美桜は「ちょっと古いけど綺麗でしょ?私、物持ちがいいの(笑)」と笑う。

だけど…あのストラップは、昔の男からもらった物じゃないか?
そして、美桜はまだその男を好きなのでは…と考えてしまう。
何も根拠はないけど、あのストラップには何かがある気がする。
その考えがちらつくせいで、プロポーズもできない。


「亮!ぼんやりしてどうしたの?」
「ん?何もない何もない!急ごう!映画始まる!」
「うん。」

俺はいつものように不安をなかったことにして、美桜と映画館まで走った。



つづく
by rin1119a | 2013-09-17 17:13 | プライド