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JYJの妄想小説ブログです。妄想小説が苦手な方は閲覧しないでください。JYJも妄想も好きな方は是非どうぞ(^^)気に入ってもらえますように(*´∀`)


by 凛

プライド 第14話

*2014年7月 東京*

今日は出張で、普段の勤務地である愛知から東京に来ている。
お昼時をとっくに過ぎた時間に、俺は数年ぶりに再会した同期と昼飯を食っていた。


「それにしても本当に驚いた。取引先の駐車場に深田くんがいるんだもん。
急にどうしたの?今は愛知の〇〇支店にいるんだよね?
深田くんが赴任してから〇〇支店の営業成績が一気に伸びてる…てこっちでも話題になってるよ。
さすがだよね。深田くん新人の頃から飛び抜けてたもん。」

「お前の方がよっぽど飛び抜けてただろ(笑)ウチの支店は元々成績悪かったから、ちょっとでも伸びると凄く見えるだけだって。
いやさ、東京出張の話が出た時真っ先に『同期の出世頭の寺川に会いてー』て思ってさ。」

「相変わらず口がお上手ね(笑)」
「事実だろ?」



寺川美桜。
俺と同じ2009年にTKB銀行に入社した。俺たちは2年目の終わりまで同じ支店で働いていた。
うちは、日本でも三本の指に入る大手の銀行。
そこに総合職…バリバリの営業担当として男に混じって入社したのが寺川だ。


「入社したての頃、『この子守ってあげたくなるー。可愛いー。』て思ってたのに、お前はいつのまにか新人賞(1年目社員でトップの営業成績を取った者に贈られる)取るし。
そのあとも、韓国の大手銀行との提携に関わるわ、アメリカ研修に選ばれるわ、営業成績全国1位になるわ…。」

「そんな…周りに恵まれてるだけよ。いつも支えてもらってるからね。」
「お前…そんな順調にキャリア積んでて、よくそんな謙虚でいられるよな。俺がお前なら絶対に天狗になるぞ(笑)」



******


「なあ、どうやったら結婚できると思う?」
「それ、独身の私にする質問じゃないでしょ(笑)」
「だよなー。俺、最近母親と電話で話すたびに、見合い話されてさー。
『仕事、仕事って…アンタ、再来年には30になるのよ!どうするの!?」てうるさいんだよ。」
「うわ、私と一緒すぎる(笑)」
「お前は付き合ってる奴いるからまだいいじゃん。そいつととっとと結婚すればいいじゃん。俺なんか彼女すらいねーよ…もう3年も。」

いつのまにか、話題はプライベートの話になっていた。

「てか、俺とお前が未だに独身なのは柳田のせいだって!」
「柳田支店長のせいにしてる(笑)しかも呼び捨てだし(笑)」

柳田というのは、俺らが入社2年目までいた大阪の支店の支店長。
今は別の支店にいるらしい。
部下の営業成績しか関心がない奴で、営業成績の良くない社員は人間扱いしない奴だ。
無茶な押し売りを部下に強いたり…ろくでもない奴だった。

「俺あいつからのパワハラのせいでさ、休みの日に彼女に会う精神的余裕がなくなってさ…。その休日もほとんどなかったし。そしたら、俺が彼女に構えなくなったせいで、浮気されてダメになってさ…」
「ちょっともう…。そんな昔の話持ち出しても仕方ないでしょ?落ち着いてよ。」
「お前だってさ、大学の頃から付き合ってた彼氏と別れただろ?入社2年目に…。やっぱり柳田のせいだって!」


俺がそう言うと、寺川の顔が一瞬悲しそうに歪んだように見えた。

「…たしかに別れたけど、柳田支店長は関係ないわ。…どうせね、私たちは別れる運命だったのよ。」
「…あ、なんかごめん…。」
「ううん。気にしないで。もう昔のことよ。
そんなことより、深田くん合コンに行ってみれば?私、今の彼とは合コンで知り合ったの。」
「えーこの歳で合コンかよ!?」


久しぶりの寺川との再会では、仕事からプライベートまで色んな話に花が咲き、短いが有意義な時間を過ごせた。


この再会から数ヵ月後、愛知で『恋人も配偶者もいない独り身同士語り合おう!』という寂しすぎる理由で寺川と二人で飲むことになるなんて、俺たちは知るよしもなかった。


つづく
by rin1119a | 2013-09-18 23:52 | プライド