素直になりたい 第1話
2013年 10月 29日
「こらー!男子たち!女の子苛めるな!」
「げっ!森が来た!逃げるぞ!」
私は、子供の頃からかなりの男勝りだった。
口喧嘩では絶対に負けなかったし、運動能力でもそこらへんの男なんかには絶対に負けなかった。
おまけに、身長も高かったから、小学生の頃なんか男子に恐れられていた。
ちなみに、身長はずっと伸び続けて、大学生になった現在は172センチだ。
「もう!逃げやがって!…大丈夫?」
「大丈夫だよ。ありがとう、まりあちゃん。」
そんな私には、コンプレックスがある。
女にしては高い身長でも、可愛いげのない性格でもない。
まあ、どっちも好きではないけど、諦めて受け入れるしかない。
身長なんか縮められないし、可愛いげのない性格も変えようがないのだから。
私のコンプレックス…
「まりあちゃんはやめてー(笑)森ちゃんにしてよー。」
「どうして?まりあちゃんってすごく可愛い名前なのに…」
それは、私に全く似合っていない『まりあ』という無駄に可愛らしい名前だ。
優しい子になるように…という願いを込めて、両親はこの名前をつけたらしい。
聖母マリア様が由来なのか…。
一生懸命考えて名づけてくれた両親には申し訳ないけど、『優しい子』なら素直に優子ちゃんにしてほしかった…。
キリスト教徒でもないのに、なんでわざわざそんな捻りをいれたのだろう…。
『まりあ』なんて、女の子らしい可愛い子じゃなきゃ似合わないよ…。
私みたいな人間には全然似合わない…。
*****
「森ちゃん、おはよう!ねえねえ!お願いがあるんだ!」
「おはよう。ジュンスのお願いはどうせ課題の手伝いでしょ(笑)?」
「うきゃんうきゃん!正解ー!さすが森ちゃん!」
彼は、同じ学部で同じサークルのキム・ジュンス。
生まれは韓国だけど、中学の頃にお父さんの仕事の都合で日本に引っ越してきて、そのまま日本で生活している。
大学1年の頃にサークルで知り合って以来、ずっと仲良くしている。
彼の独特の笑い声や、天真爛漫なところがとても好きだ。
普段は少しボケてるけど、いざという時は頼りになる。
私は、そんな彼に2年ほど片想いをしている。
「明日提出なのに何にもしてないんだー(笑)」
「もう!何にもしてないんだーじゃないよ(笑)ジュンスはいつも後回しにしすぎよ。」
「俺、ピンチの時ほど力を発揮するからね!」
「自分からピンチ招いてるんでしょー(笑)」
告白なんてしない。できないもん。
このまま楽しく過ごせればそれで…。
「あ、そうそう!今日からさ、留学生が来るんだ!俺の友達なんだー」
「友達って韓国の?」
「うん!ユチョンっていうんだ。韓国に帰った時は絶対に会ってるけど、同じ大学に通えるなんて嬉しいよー!」
「そんなに仲良いんだー良かったね。」
「うん!小学生の頃からの付き合いだから。すっごく優しくて良い奴だから、森ちゃんもすぐ仲良くなれるよ!」
ジュンスのニコニコした顔を見ると、私も幸せな気持ちになる。
ジュンスの大切な友達か…どんな人だろう…。
ジュンスの大切な友達があんな最悪男だなんて、この時の私は知る由もなかった…。
つづく
「げっ!森が来た!逃げるぞ!」
私は、子供の頃からかなりの男勝りだった。
口喧嘩では絶対に負けなかったし、運動能力でもそこらへんの男なんかには絶対に負けなかった。
おまけに、身長も高かったから、小学生の頃なんか男子に恐れられていた。
ちなみに、身長はずっと伸び続けて、大学生になった現在は172センチだ。
「もう!逃げやがって!…大丈夫?」
「大丈夫だよ。ありがとう、まりあちゃん。」
そんな私には、コンプレックスがある。
女にしては高い身長でも、可愛いげのない性格でもない。
まあ、どっちも好きではないけど、諦めて受け入れるしかない。
身長なんか縮められないし、可愛いげのない性格も変えようがないのだから。
私のコンプレックス…
「まりあちゃんはやめてー(笑)森ちゃんにしてよー。」
「どうして?まりあちゃんってすごく可愛い名前なのに…」
それは、私に全く似合っていない『まりあ』という無駄に可愛らしい名前だ。
優しい子になるように…という願いを込めて、両親はこの名前をつけたらしい。
聖母マリア様が由来なのか…。
一生懸命考えて名づけてくれた両親には申し訳ないけど、『優しい子』なら素直に優子ちゃんにしてほしかった…。
キリスト教徒でもないのに、なんでわざわざそんな捻りをいれたのだろう…。
『まりあ』なんて、女の子らしい可愛い子じゃなきゃ似合わないよ…。
私みたいな人間には全然似合わない…。
*****
「森ちゃん、おはよう!ねえねえ!お願いがあるんだ!」
「おはよう。ジュンスのお願いはどうせ課題の手伝いでしょ(笑)?」
「うきゃんうきゃん!正解ー!さすが森ちゃん!」
彼は、同じ学部で同じサークルのキム・ジュンス。
生まれは韓国だけど、中学の頃にお父さんの仕事の都合で日本に引っ越してきて、そのまま日本で生活している。
大学1年の頃にサークルで知り合って以来、ずっと仲良くしている。
彼の独特の笑い声や、天真爛漫なところがとても好きだ。
普段は少しボケてるけど、いざという時は頼りになる。
私は、そんな彼に2年ほど片想いをしている。
「明日提出なのに何にもしてないんだー(笑)」
「もう!何にもしてないんだーじゃないよ(笑)ジュンスはいつも後回しにしすぎよ。」
「俺、ピンチの時ほど力を発揮するからね!」
「自分からピンチ招いてるんでしょー(笑)」
告白なんてしない。できないもん。
このまま楽しく過ごせればそれで…。
「あ、そうそう!今日からさ、留学生が来るんだ!俺の友達なんだー」
「友達って韓国の?」
「うん!ユチョンっていうんだ。韓国に帰った時は絶対に会ってるけど、同じ大学に通えるなんて嬉しいよー!」
「そんなに仲良いんだー良かったね。」
「うん!小学生の頃からの付き合いだから。すっごく優しくて良い奴だから、森ちゃんもすぐ仲良くなれるよ!」
ジュンスのニコニコした顔を見ると、私も幸せな気持ちになる。
ジュンスの大切な友達か…どんな人だろう…。
ジュンスの大切な友達があんな最悪男だなんて、この時の私は知る由もなかった…。
つづく
by rin1119a
| 2013-10-29 18:15
| 素直になりたい