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JYJの妄想小説ブログです。妄想小説が苦手な方は閲覧しないでください。JYJも妄想も好きな方は是非どうぞ(^^)気に入ってもらえますように(*´∀`)


by 凛

熱情 第2話

「いらっしゃいませ!」

お洒落な内装の店内に入ると、甘いワッフルの香りと元気の良い店員さんの声に迎えられた。

責任者の教育がしっかりしているのだろう。この店の人の接客は、とても気持ちが良い。
一歩店に入っただけで、灯(あかり)の頑張りが伝わってくる。

「こんにちは。」
「あ、副店長の!すぐに副店長呼んできますね!」
「あ、大丈夫ですよ。ちょっと顔出しに来ただけだから。」
俺の言葉より先に、その店員さんは灯を呼びに行ってしまった。

2か月前、俺の大切な彼女は副店長に昇格した。
販売職だから休みは不規則だし、変な客も来るだろうから、大変だと思う。
でも、彼女は辛い顔ひとつ見せず、愚痴ひとつこぼさず、明るく頑張っている。

その頑張りが実って、まだ2年目なのに副店長だ。
すごいよな…俺と同い年なのに。
俺は全然違う仕事をしてるけど、灯の頑張りはとても刺激になる。
俺も頑張らないと。

「ユファン!ごめんね、今日は予約のお客様がたくさんいらっしゃるから、いつもより時間がかかりそうなの。」
奥から呼ばれて出てきた彼女は、少し焦っている。
今はお客さん少ないけど、この後から忙しくなるようだ。

「いいよいいよ!少しでも早く顔を見たくて寄っただけだから。待ってるから、仕事終わったら連絡して。」
「うん。ごめんね。」

灯は俺の自慢の彼女。
明るいし、優しいし、可愛いし。
こんな彼女がいるなんて、俺は幸せだよな。


*****

*3年前*


昨日は楽しかったな。
みなさん、いい人だったし。

そういえば、昨日の夜中に田城さんから『パクさんが藤木さんの連絡先を教えてほしいみたいなんだけど、いい?』ってメールがきたな。
いいですよ…って送ったけど。

パクさん…クールな雰囲気で、何気ない仕草が絵になる人だったな。
ビックリしたのは、知らないうちに、カラオケの代金を全額支払ってくれたこと。
一体いつ払ったんだろう?そのあまりのスマートさに驚いた。

全額なんて申し訳ないから、私たち女子は自分の分だけでも払おうとしたんだけど…『いいよ。俺、社会人だし。』とにこやかに断られた。

彼とは、昨日ささいな話しかしなかったけど、私の何を気に入ってくれたんだろう?
モテるタイプだろうから、女の人には絶対に不自由してないと思うし。

ブーブー

あ…知らないアドレスからだ。

『パク・ユチョンです。』

件名には、今まさに考えていた人の名前が出ていた。


*****

彼女にメールを送ると、わりとすぐに返事が返ってきた。

彼女の雰囲気通り、顔文字や絵文字が結構使われていて、可愛らしいメールだ。
文面はしっかりした感じで、とても礼儀正しい。

文面を見る限り、1回二人で会うくらいならOKしてくれそうだな。

さて…どういう店がいいかな。
どういう感じの店に連れていっても、ニコニコ笑って『ありがとうございます』って言ってくれそうな雰囲気はあるけど。

次に繋げるためにも…頑張るか。
そう思って、俺はある人物に電話をかけた。

『もしもし…パクさん…何の用ですか?藤木さんの連絡先なら送ったでしょ?…ふわぁ~』
眠たそうな声だな(笑)あくびしてるし(笑)
「灯ちゃんさ、どんなもの好き?食い物の好みとか、店の好みとか。」
『えぇー何でも好きだと思いますよー。てか、早速名前呼びなんて馴れ馴れしいですねー…ふわぁ~』

「何でも…って、めちゃくちゃ好きなものくらいあるだろ。」
『そんなの本人に聞いたらいいじゃないですかー。藤木さんの好きなものっていえば…酒しか思い浮かばないですよー。』

「いきなり好み通りの店に連れていって、喜ばせたいんだよ。
お前に聞けば多少はわかるかと思ったけど…お前に期待した俺がバカだった。」
『うわ、ひどっ!藤木さんの連絡先教えたの俺だし、こんな朝早くから電話で話聞いてあげてるのに!』
「こんな朝早くから…って、もう12時前だぞ(笑)
お前、たいして強くないくせに、飲みすぎだろ(笑)灯ちゃん以外の女の子全員引いてたぞ(笑)」

しばらくクダラナイ話をして、電話を切った。
うーん…ビール以外は何でも好きみたいだから、飲み物充実してる店がいいかな。

その前に、都合聞かないと。俺、金曜か土曜じゃないと無理だし。


*****

この頃、俺は特定の女がいなくて、飲み屋で知り合った女を引っかける日々を送っていた。
そんな日々を2年ほど続けていた俺にとって、久しぶりに味わうトキメキだった。

女を落とす過程が楽しいからだと思っていた。
でも、今思うと、相手が灯だったから、あんなにソワソワしたのだろう。

どうして、灯を手放してしまったんだ?
どうして、あの時追いかけなかった?
どうして、『ごめん』の一言を言えなかったんだ?

ふとした時に、何度も灯を思い出し、自問自答してしまう。


つづく
by rin1119a | 2013-12-15 12:29 | 熱情