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JYJの妄想小説ブログです。妄想小説が苦手な方は閲覧しないでください。JYJも妄想も好きな方は是非どうぞ(^^)気に入ってもらえますように(*´∀`)


by 凛

プライド 第21話

ユチョンは私の部屋に入ってくるとすぐに、私にカーテンを閉めてほしいと頼んだ。

私は言われるがままカーテンを閉めに行ったけど、視界に入ってきた異様な光景に絶句した。
物凄い数の車がホテルの周りに停まっている。

あれは一体???
車の通行は多かったけど、停まっている車なんてさっきまでほとんどなかったのに…。

絶句している私にユチョンは言った。
「ごめんね。あれさ、全部俺を追っかけてきたタクシーなんだ…。そのうちいなくなるし、この部屋はバレてないから大丈夫だよ…。」

今まで聞いたことのないような、心底うんざりした口調だった。いつもの優しいユチョンからは想像がつかない。

追っかけてきた…てファンの人たちが???
もしかして、こんなのがいつもあるの???

私は色んな疑問を抱いたけど、ユチョンには何も聞かなかった。
聞かなくても何となく想像ついたし、ユチョンの疲れた口調を聞くとこんな話をいちいち振るのが可哀想に思えたから。

ユチョンが自分から話すなら、私はいくらでも聞くよ。でもそうじゃないなら聞き出す必要なんてないと思う。


ぎゅっ。

そんなことを考えていた私を、ユチョンは後ろから抱きしめた。
「美桜…韓国まで会いにきてくれてありがとう。すっごい嬉しい…仕事の疲れなんか吹っ飛ぶよ。」
いつもと同じ優しい口調だった。
やっぱり、ホッとする。
ユチョンの温もりは心地良い。

ふとユチョンの手首を見ると、私のあげたシルバーの腕時計が光っている。
光っている…といっても、たいした輝きではないけど。
いつもなら『ユチョン気に入ってくれてるんだ!嬉しいなぁ!』て能天気に喜ぶけど、今日はそんな気分になれなかった。

『あまり高くない物なのよ。ユチョンの身に付けてる物の中では一番安いわ。』
ソンヒさんの言葉が鮮明に蘇ってくる。

モニターやテレビで見たカッコいいパフォーマンス。
ユチョンたちを見て悲鳴をあげる人たち。
空港の巨大なポスター。

私とは違いすぎる。何もかも。
私みたいな何の取り柄もない一般人が、ユチョンのそばにいていいの?ダメだよね。
私は、自分の視界がボヤけてくるのを感じていた。


*****

「美桜!?どうした!?何かあった!?」

俺は美桜を後ろから抱きしめていた。その体勢のまま、可愛い小さな手に触れたり、首もとにキスしたり…。
いつも通り恥ずかしそうにしている姿がめちゃめちゃ可愛くて、俺の胸は高鳴っていた。
だけど、やっぱり美桜の顔を見たくて、少し体を離して美桜の顔をのぞきこんだ。

そしたら、美桜は目にいっぱい涙をためて、今にもこぼれ落ちそうになっていた。

「な、何でもないよ…。ユチョンに…会えたのがね…嬉しくて(笑)」

嘘だ…。
だったら、なんでそんなに悲しそうな顔してるの?
なんで声そんなに震えてるの?

「ほんとに?さっきの電話でも元気がなかったから心配なんだ。絶対に何かあったよね?俺に話してみて。ん?」
美桜の頭を撫でながら言った。
「ほんとに何でもないよ!あ、ユチョンお腹空いてるでしょ?ルームサービス頼もうよ!何がいい?」
美桜は妙に明るい声で話を反らす。

「お腹なんか空いてない。今はね、美桜の話を聞きたい。」
俺の返しに、美桜は困った表情をうかべている。
俺は美桜の目をじっと見つめていた。

10分程沈黙が続いていたけど、美桜がぽつりと言葉を発した。

「ユチョンは、そんな安物の時計なんかでいいの?もっとユチョンに似合う高価な物いっぱいあるのに…。」

え???
俺は、美桜の言っていることの意味がさっぱり理解できなかった。
安物?
俺に似合う高価な物?

俺は美桜のくれた腕時計をすごく気に入っている。
美桜がくれた物だから…というのが一番大きい理由だけど、腕時計そのものがカッコいいんだ。
そんなに派手じゃないからどんな服にも合うし、シンプルだけどセンスの良いカッコいいデザイン。
もらった時、美桜のセンスの良さに感激したんだ。

美桜の言葉の意味を理解できず、返事が遅れてしまった。
すると、美桜は俺の耳を疑うことを言い出したんだ。

「やっぱり私…ユチョンに相応しくないんだ…。」
「え!?どういうこと!?俺に相応しくないって!?」




つづく
by rin1119a | 2013-09-21 21:05 | プライド