プライド 第27話
2013年 09月 23日
*2014年8月 東京*
美桜の左手の薬指には、ダイヤがキラキラ光っている。
ストラップのサファイアの光になんか負けやしない。
2週間前、俺は美桜にプロポーズをした。
ロマンティックさなんて欠片もない言葉で、自分のヘタレっぷりを呪いたくなった。
でも、美桜は…
「亮らしくてストレートな言葉ありがとう。私で良ければずっとよろしくね。」
と笑顔でOKしてくれた。
俺たちは結婚へ向けて一緒に住むことにした。
同棲を提案したのも俺だし、式の用意も俺主導で急ピッチで進めている。
そんな俺に美桜は
「亮、仕事忙しいのに、結婚の準備進めてくれてありがとう。無理してない?
そんなに急がなくても、私は大丈夫だよ。だから、もう少しゆっくり二人で準備しない?」
と言う。
違うんだ。
俺は不安なんだ。
早く結婚しなきゃ、早く式を挙げて『美桜は俺のものだ』と周囲に見せなければ、お前が俺のそばからいなくなりそうな気がするんだ。
だから、急いでるんだ。
『そんなに急がなくても、私は大丈夫だよ。』
俺を気遣って言ってくれている言葉すら、不安に感じる。
*****
「荷物整理くらい自分でできるよ。亮はたまには休まないと。」
「荷物整理なんてたいした負担じゃないし、お前といたいからな。」
「そう?ならいいけど、無理はしないでね。」
明日は、美桜が俺の家に来る日だ。
明日から俺たちは同棲を始める。
これでいい。
これがいいんだ。
ふと、美桜の寝室に入った。
荷物の入った段ボールが集められていた。
ガムテープで閉められていない。まだ荷物を入れるのか?
俺は美桜に「段ボール閉めていい?」と聞かなかった。
いくつかある段ボールのうち、一つだけ気になるものがあったからだ。
ずいぶん可愛らしい箱が入っている段ボール。
その箱には、10年ほど前に流行っていたキャラクターが描かれている。
大学生カップルを見て微笑んでいた美桜…
10年前流行っていたキャラクター
…
古びたサファイアのついたストラップ…
この箱は開けてはいけない!
そう直感した。
でも、俺はその箱を開けてしまった。
開けてはいけなかったパンドラの箱を…。
つづく
美桜の左手の薬指には、ダイヤがキラキラ光っている。
ストラップのサファイアの光になんか負けやしない。
2週間前、俺は美桜にプロポーズをした。
ロマンティックさなんて欠片もない言葉で、自分のヘタレっぷりを呪いたくなった。
でも、美桜は…
「亮らしくてストレートな言葉ありがとう。私で良ければずっとよろしくね。」
と笑顔でOKしてくれた。
俺たちは結婚へ向けて一緒に住むことにした。
同棲を提案したのも俺だし、式の用意も俺主導で急ピッチで進めている。
そんな俺に美桜は
「亮、仕事忙しいのに、結婚の準備進めてくれてありがとう。無理してない?
そんなに急がなくても、私は大丈夫だよ。だから、もう少しゆっくり二人で準備しない?」
と言う。
違うんだ。
俺は不安なんだ。
早く結婚しなきゃ、早く式を挙げて『美桜は俺のものだ』と周囲に見せなければ、お前が俺のそばからいなくなりそうな気がするんだ。
だから、急いでるんだ。
『そんなに急がなくても、私は大丈夫だよ。』
俺を気遣って言ってくれている言葉すら、不安に感じる。
*****
「荷物整理くらい自分でできるよ。亮はたまには休まないと。」
「荷物整理なんてたいした負担じゃないし、お前といたいからな。」
「そう?ならいいけど、無理はしないでね。」
明日は、美桜が俺の家に来る日だ。
明日から俺たちは同棲を始める。
これでいい。
これがいいんだ。
ふと、美桜の寝室に入った。
荷物の入った段ボールが集められていた。
ガムテープで閉められていない。まだ荷物を入れるのか?
俺は美桜に「段ボール閉めていい?」と聞かなかった。
いくつかある段ボールのうち、一つだけ気になるものがあったからだ。
ずいぶん可愛らしい箱が入っている段ボール。
その箱には、10年ほど前に流行っていたキャラクターが描かれている。
大学生カップルを見て微笑んでいた美桜…
10年前流行っていたキャラクター
…
古びたサファイアのついたストラップ…
この箱は開けてはいけない!
そう直感した。
でも、俺はその箱を開けてしまった。
開けてはいけなかったパンドラの箱を…。
つづく
by rin1119a
| 2013-09-23 14:23
| プライド