プライド 第33話
2013年 09月 27日
*2014年8月 東京*
俺は、美桜の寝室でキャラクターの描かれている箱を開けてしまった。
そこにはネックレスやブレスレットなどが入っていて、それらを取り出すとたくさんの写真が出てきた。
その写真の中の一枚は、東京タワーをバックに写されている。そこには、まだ幼さの残る美桜が照れくさそうな顔で写っていた。
「わぁ…めちゃくちゃ可愛い…」
思わず俺はそう呟いていた。
今でこそ、落ち着いた和風美人だが、さすがに10年近くも前だと幼さが残っている。
可愛い…モテたんだろうな…。
美桜は鈍感だから全く気づいてないだろうけど。
そんな風にのんきに見とれていたのも、すぐに終わった。
美桜は一人で写っていなかった。美桜の隣には、男が写っていた。しかも、美桜の肩を抱いて。
見るからに人が良さそうで背の高いその男は、とても穏やかな優しい笑顔を浮かべている。
誰かに説明されなくてもわかる。
写真の二人は恋人同士で、お互いをとても大切に思ってること。
そして、この二人には誰かが割って入る隙間などないことも。
同じ男と写っている写真が何枚もある。写真には、色んな美桜がいた。
まだ幼さの残る可愛い美桜。
少し大人っぽくなった美桜。
ハッとするほど美しくなった美桜。
可愛く清楚な女の子から、美しく色気のある女性へと変わっていく様子がよくわかる。
この写真の男とは、1年や2年の付き合いではなかったのだろう。
若い美桜の思い出の全てには、この男がいる…。
パラッ
「ん?なんだ?」
写真を漁っていると、中から1枚の白い紙が出てきた。二つ折りにされているその紙を開けてみる。
きのうは、ごめんなさい。
えらい人におこられましたか?
ぼくは、パク・ユチョンといいます。
きみのなまえは?
ともだちになりませんか?
パク・ユチョン
090-〇〇〇〇-〇〇〇〇
*****@softbank.ne.jp
どういう状況かはよくわからないが、この紙が写真の男と美桜の始まりであることは明らかだ。
美桜は、こんな物たちを未だに大切に持っていて、俺と住む家にまで持っていこうとしているのか…。
悲しみとも怒りとも名付けられない、複雑で汚い感情が俺を支配していた。
次の瞬間、俺はリビングにいる美桜に叫んだ。
「美桜!!この箱捨てろ!」
美桜はすぐに俺のもとにやってきた。
俺の手にあるのは、あの箱。
写真の男…パク・ユチョンとの思い出がいっぱい詰まっている箱。
俺・箱・床に散らばっている写真たちを見る美桜の目を見た瞬間、俺たちの関係が終わりを告げることを予感した。
素直に叫べよな。俺みたいに。
「捨てないで!」って。
どうせ捨てられないんだろ?
なあ、美桜。自分がどんな表情してるかわかるか?
お前、今にも泣きそうだぞ。
つづく
俺は、美桜の寝室でキャラクターの描かれている箱を開けてしまった。
そこにはネックレスやブレスレットなどが入っていて、それらを取り出すとたくさんの写真が出てきた。
その写真の中の一枚は、東京タワーをバックに写されている。そこには、まだ幼さの残る美桜が照れくさそうな顔で写っていた。
「わぁ…めちゃくちゃ可愛い…」
思わず俺はそう呟いていた。
今でこそ、落ち着いた和風美人だが、さすがに10年近くも前だと幼さが残っている。
可愛い…モテたんだろうな…。
美桜は鈍感だから全く気づいてないだろうけど。
そんな風にのんきに見とれていたのも、すぐに終わった。
美桜は一人で写っていなかった。美桜の隣には、男が写っていた。しかも、美桜の肩を抱いて。
見るからに人が良さそうで背の高いその男は、とても穏やかな優しい笑顔を浮かべている。
誰かに説明されなくてもわかる。
写真の二人は恋人同士で、お互いをとても大切に思ってること。
そして、この二人には誰かが割って入る隙間などないことも。
同じ男と写っている写真が何枚もある。写真には、色んな美桜がいた。
まだ幼さの残る可愛い美桜。
少し大人っぽくなった美桜。
ハッとするほど美しくなった美桜。
可愛く清楚な女の子から、美しく色気のある女性へと変わっていく様子がよくわかる。
この写真の男とは、1年や2年の付き合いではなかったのだろう。
若い美桜の思い出の全てには、この男がいる…。
パラッ
「ん?なんだ?」
写真を漁っていると、中から1枚の白い紙が出てきた。二つ折りにされているその紙を開けてみる。
きのうは、ごめんなさい。
えらい人におこられましたか?
ぼくは、パク・ユチョンといいます。
きみのなまえは?
ともだちになりませんか?
パク・ユチョン
090-〇〇〇〇-〇〇〇〇
*****@softbank.ne.jp
どういう状況かはよくわからないが、この紙が写真の男と美桜の始まりであることは明らかだ。
美桜は、こんな物たちを未だに大切に持っていて、俺と住む家にまで持っていこうとしているのか…。
悲しみとも怒りとも名付けられない、複雑で汚い感情が俺を支配していた。
次の瞬間、俺はリビングにいる美桜に叫んだ。
「美桜!!この箱捨てろ!」
美桜はすぐに俺のもとにやってきた。
俺の手にあるのは、あの箱。
写真の男…パク・ユチョンとの思い出がいっぱい詰まっている箱。
俺・箱・床に散らばっている写真たちを見る美桜の目を見た瞬間、俺たちの関係が終わりを告げることを予感した。
素直に叫べよな。俺みたいに。
「捨てないで!」って。
どうせ捨てられないんだろ?
なあ、美桜。自分がどんな表情してるかわかるか?
お前、今にも泣きそうだぞ。
つづく
by rin1119a
| 2013-09-27 11:27
| プライド