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JYJの妄想小説ブログです。妄想小説が苦手な方は閲覧しないでください。JYJも妄想も好きな方は是非どうぞ(^^)気に入ってもらえますように(*´∀`)


by 凛

運命の人 第1話

「ねぇー茉莉子ちゃん彼氏いるのー?」

ペタッ

えっ…やだ…太ももの上に…

今日はうちの支店の新人歓迎会。すっかりお酒もすすんで場は盛り上がっている。

でも、私はあんまりお酒飲めないのに無理に飲んでしまって、めちゃくちゃ気分が悪い。
それに、もともと飲み会…というかワイワイするのが苦手…。

「ねぇー茉莉子ちゃぁーん!茉莉子ー!」
しかも…さっきから隣にいる副支店長がやたら絡んでくる。
酒癖が相当悪いのか、下の名前で呼びだすし、手は私の太ももの上…。
どうしよう…。

「ほらぁーこれ飲みなよー」
副支店長が私にすすめてきたのは、ウィスキーのロック…。
こんなの飲めないよ…。
どうしよう…。

コトッ

「はい、佐伯さん。」
困っている私のそばに、支店長がオレンジ色の飲み物を持ってやって来た。
その飲み物を私のそばに置くと、支店長は爽やかな笑顔で言った。
「まだ新人で初々しい佐伯さんには、ウィスキーよりこっちの方が似合うから。」

「支店長ー!そんなの酒じゃねーだろー!茉莉子ちゃんは、これを飲むんだ!ねぇー茉莉子ちゃーん!」
そう言って私の胸元に伸びてきた副支店長の手を、支店長はしっかり掴んだ。

「支店長ー何するんすかー!」
「いやぁー私のような若い支店長は、副支店長の支えがないとやっていけません。よろしくお願いいたします…という意味を込めて握手を…と思いまして…。」

支店長…もしかして私を助けてくれた?
そう考えている私の方をちらっと見て、支店長は私にしか聞こえないように小声で言った。

「それ、オレンジジュースだから。それ飲んだら、トイレ行って休め。顔色かなり悪いぞ。」

支店長が副支店長の相手をしてくれている間に、オレンジジュースを飲み、トイレに駆け込んだ。

「うぅ…」

しばらくトイレで休み、席に戻ろうとすると…

「支店長!」
「なかなか戻ってこないから心配で…大丈夫?」
「は、はい」
支店長…私のことを心配して、トイレの前で待っててくれてたんだ…。
「佐伯さん、酒ほとんど飲めないのに周りが無理して飲ませただろ?ホントは俺がもっと早く気づいてやらなきゃいけなかったのに、悪かった。」
「そんな、支店長が謝る必要なんてないです!私がうまく断れないのが悪いんです!」

その後、支店長は私がお酒を飲まずにすむように、副支店長から触られないように色々気遣ってくれた。
上司に気を使わせた自分のことは、とても情けなく思った。でも…。

深田支店長…
まだ30半ばなのに、支店長に抜擢される優秀な人。
それなのに、私みたいな新人にも明るく話しかけてくれる気さくな人。
こんなこと言うとミーハーみたいだけど、顔もカッコいい。

新人歓迎会の前から素敵だな…とは思ってた。
だけど、この新人歓迎会以来、私は支店長のことをついつい目で追うようになってしまった。


*****

「支店長、山口さん外回りお疲れさまでした。コーヒーとタオルどうぞ。」
「お、ありがとう。」

ついさっき、営業担当の山口さんと支店長が外回りから帰ってきた。
支店長は普段は外回りしないけど、大きな契約がかかっている時は営業担当に同行することがある。

最近、暑くなってきたから外回りはキツいと思う。
私にできることは、飲み物をお出しすること・タオルの一つでも差し出すことくらいだ。
営業担当の方が帰ってきた頃に手が空いていれば、必ず飲み物をお出しするようにしている。

「佐伯さん、ありがとう。どう?仕事慣れた?」
支店長に話しかけてもらった!
「慣れた…まではまだまだ…」
「そっか。そりゃそうだよな。
まだ1年目なんだから、焦らずに一個一個確実にできるようになっていけばいいから。困ったことがあれば、いつでも俺に言ってきて。」
「はい!」
「元気いいなぁー。」

支店長と話せることが嬉しい私は、自分が周囲からどう思われているかなんて全く気づいていなかった…。


*****

「佐伯さん、支店長に馴れ馴れしくしすぎじゃない?」
「あなたもそう思う?新人のくせに生意気よねー。」
「ホントねー。しかも、あんな地味なくせに、深田支店長を狙うなんて身の程知らずよ!」


つづく
by rin1119a | 2013-10-28 23:53 | 運命の人