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JYJの妄想小説ブログです。妄想小説が苦手な方は閲覧しないでください。JYJも妄想も好きな方は是非どうぞ(^^)気に入ってもらえますように(*´∀`)


by 凛

運命の人 第13話

仕事終わりに、泣きそうな顔をしている山口と飲みに来た。
山口の恋愛相談に乗るためだ。だいぶ鬱陶しいし面倒だが、仕方ない。

「…お前、一体どういう考えで、こんな所を初デートの場所に選んだんだ?」

山口が佐伯さんとの初デートに選んだ場所は、たしかにムードは良い。
だが…

「お前の運転する車で箱根温泉に行くなんて、付き合ってからすることだろ…。」
「泊まりませんよ!日帰りです!」
「当たり前だ!お前、佐伯さんの連絡先すら知らないだろ?そんな状態で、二人きりでドライブなんて断られて当然だろ…。しかも、行き先が温泉て…」
「佐伯さんが『お休みの日は温泉でのんびりしたいですよね』って言っていたし、この店の料理なんかめちゃくちゃうまそうですし!」
山口は、箱根温泉のパンフレットに載ってる写真を見せながら力説する。
こいつ…ズレてんなぁ…。

「あのなぁ…佐伯さんの性格考えろよ…。あの子みたいな大人しい子が、たいして親しくない男とドライブなんか行くか?てか、普通の女の子なら警戒するだろ。初デートがドライブで温泉なんて、相手のこと好きじゃなかったら絶対に断るぞ。」
「俺脈なしってことですかー!!!」
山口は、俺の胸にしがみついて、泣き出した。

「おい!いちいち抱きつくのはやめろ!脈なしだなんて言ってねえよ!誘う場所がまずかっただけだよ!」
「じゃあ、俺はどうすればいいんですかー!!??」
「だーかーら!引っ付くな!」


泣きわめく山口は、俺にキツく抱きつき、なかなか離さなかった。なんで、185センチもある巨体に抱きつかれてんだよ…俺は。

頭が痛くなったが、とりあえずもう少しゆっくり仲良くなるようにアドバイスをした。
『まずは、連絡先を交換して、仕事以外での繋がりを作れば?』とアドバイスをしただけで、アイツは感激の涙を流し、俺に抱きついてきたのだった。

それくらいのことなら、俺じゃなくても言うと思うが…。
アイツ…変人過ぎて友達いないのか?…いや、同期の奴とか年の近い先輩とは仲良くしてるぞ…。
あ、山口の交遊関係なんかどうでもいいや。

佐伯さんとうまくいけばいいな…うん。
佐伯さんのはにかんだ笑顔や小さな体を思い出して、なんか妙な気分になった。
…あ、山口が鬱陶しいんだな…。
山口のあの暴走も、佐伯さんなら優しくブレーキかけてくれそうだ。うん…良い二人だ。


*****

「佐伯さん、ジ〇リ好きだったよね?」
「はい。」
「これ、親戚の子に貰ったんだけど、佐伯さんにあげる。」
「えっ!」
「男の俺には可愛すぎるからさ!」
「山口さん!」

行っちゃった…。
最近、山口さんにすごくよく話しかけられる。
この前はドライブに誘われたし、ついこの間は連絡先を聞かれた。
連絡先を交換してから、毎日山口さんからメールがくる。

同期の子からは『山口さん、茉莉子ちゃんのこと好きなんだよー』って言われるし、私自身も『もしかして…』とは思う。
だけど、私なんかの一体どこが良いのだろう…。不思議で仕方ない。

山口さんは、明るくてみんなの中心にいるタイプで、地味な私とは全然違う。もっと他にいい人がいると思うけど…。


*****

「佐伯さん本当に可愛いんです!!!」
「…はいはい」
「小さくて小動物みたいなんですよ!」
「そりゃあ、お前みたいな巨体からしたら、佐伯さんは小動物にしか見えないな。」
佐伯さんは150センチ前半くらいしかないから、185の山口からしたら小動物だな。


今日も仕事終わりに立ち寄った飲み屋で、山口のノロケを聞かされている。

「お前、他に話し相手いないのか?」
「支店長が一番良いんです!素晴らしいアドバイスをくれますし!そんなことより、佐伯さん、小柄だけど胸すげぇ大きいんですよ!」
「はあ!?」
なんで胸の話になるんだ???

「支店長見てないんですか?服の上からでも目立ってるのに!あ、いや、見ちゃダメですよ!絶対に見ちゃダメですよ!」
「見ねえよ!」
ニヤニヤと変な妄想に耽っている山口を見ると、苛立ちを覚えた。
「お前、襲うなよ!」
「佐伯さんの嫌がることなんか絶対にしません!安心してください!」


『支店長…してんちょおー!』
水で濡れた彼女
赤くなった目
抱きしめた時の柔らかい感触

…おい、俺!山口に流されて、自分まで佐伯さんを変な目で見るな!

あの子は、一生懸命で真面目でがんばり屋で…自信なさげだから、守ってやりたくなる部下なんだ。

いつの間にか、俺は、佐伯さんのことばかり考えていて、山口の話なんか全く耳に入ってこなくなっていた。
きっと、山口にいつも佐伯さんの話をされているせいだな。


つづく
by rin1119a | 2013-11-09 19:34 | 運命の人