映画を見終わった俺たちは、夕飯を食べるためにレストランに入った。
「面白かったねー!」
「うん!キャラクターすごく可愛かったし、ラストは感動的だったし良かったー。」
二人で見た映画は、絵もストーリーも良くて、すっかり見いってしまった。
「キャラクターもラストも良かったけど、俺は音楽がすごく気に入ったなぁ。」
「さすがユチョンくん。ホントに音楽大好きだよね。」
「うん。本当に気に入った!サントラ欲しい!」
映画が良作だったおかげで、話がどんどん盛り上がっていく。
「そういえば、音楽が好きになったきっかけってあるの?」
「きっかけ???」
「うん。いつも楽しそうに音楽の話してるから、そんなに大好きになるには何か理由があるのかなーって思って。」
理由か…。
やっぱりアメリカにいた頃にあった色々なことかな…。
父さんの仕事の都合でアメリカに行って、お金はないし、言葉はわからないし…。
うん、多分そうだろうな。
アメリカにいた頃のことは、思い出しただけで胸が痛む。
「ユチョンくん?何だか私聞いちゃいけないこと聞いた?
もしそうならごめんなさい。言いたくなかったら言わなくていいよ。
好きになるのに理由なんかいらないし。変なこと聞いてごめんね。」
「え、全然!聞いちゃいけないなんてないよ。」
「ホント?何だかすごく考え込んでたし、悲しそうな表情に見えたから…。」
俺、そんな顔してた?
たしかにアメリカにいた頃のことはあまり思い出したくないけど…。
「あ、料理冷めちゃうよ!食べよ。」
*****
「ここの料理美味しいね。連れてきてくれてありがとう。」
「気に入ってくれて良かった。」
たしかに料理は美味しい。
美桜ちゃんに喜んでもらえたし、頑張ってリサーチして良かった。
すげー美味しそうに嬉しそうに食べてるし。こっちもつられていい気分になる。
さっきの話…
俺が音楽好きになった理由…
他の人にはあまり言いたくないけど、美桜ちゃんにはなんとなく話したい。
美桜ちゃんて、本当に美味しそうに食べるよなぁ。
今、美桜ちゃんが食べているのはデザートのチーズスフレ。
そんな美桜ちゃんを見ながら、俺はゆっくりと話しはじめた。
「…俺さ、小6から5年ぐらい…父さんの仕事の都合でアメリカにいたんだ。」
「…うん。」
美桜ちゃんは、チーズスフレを食べる手を止めて俺の話に耳を傾けている。
「行く前は『アメリカは自由の国だ』って思ってたけど、現実は全然違ってた。」
「うん。」
「言葉がわからないから、全然馴染めなかった。そのうち父さんと母さんは離婚するし…。本当に辛かったけど、その辛さを忘れさせてくれたのが音楽だったんだ。」
「うん。」
「アメリカに行く前から音楽好きだったけど。
音楽を聴いている時は、辛いことも忘れて元気になれた。
『音楽ってすごいなぁ。俺も音楽で人を元気にさせたいなぁ。歌手になりたいな』て思った。」
「…すごいね。」
「え、全然すごくないよ。」
「ううん。本当にすごいと思うし、ユチョンくんきっとたくさんの人を元気にさせる歌手になれるよ。
だって、そんな強い想いをもって歌ってる人の歌は、人の心に絶対に届くよ。」
美桜ちゃんは綺麗な目で俺をじっと見てそう言った。
どうしよう…
すごい嬉しい。
ダメだ…泣きそう。
「ユチョンくん!?ご、ごめんなさい!やっぱり私余計なこと聞いたよね!?本当にごめんなさい!」
美桜ちゃんは慌ててそう言うと、俺にハンカチを渡した。
え、まさか俺泣いてる??
「これ使って。」
嘘だろ…。
好きな子の前で泣くなんて…。
男らしくかっこ良くリードしようと思ってたのに、カッコ悪すぎる…。
つづく
「面白かったねー!」
「うん!キャラクターすごく可愛かったし、ラストは感動的だったし良かったー。」
二人で見た映画は、絵もストーリーも良くて、すっかり見いってしまった。
「キャラクターもラストも良かったけど、俺は音楽がすごく気に入ったなぁ。」
「さすがユチョンくん。ホントに音楽大好きだよね。」
「うん。本当に気に入った!サントラ欲しい!」
映画が良作だったおかげで、話がどんどん盛り上がっていく。
「そういえば、音楽が好きになったきっかけってあるの?」
「きっかけ???」
「うん。いつも楽しそうに音楽の話してるから、そんなに大好きになるには何か理由があるのかなーって思って。」
理由か…。
やっぱりアメリカにいた頃にあった色々なことかな…。
父さんの仕事の都合でアメリカに行って、お金はないし、言葉はわからないし…。
うん、多分そうだろうな。
アメリカにいた頃のことは、思い出しただけで胸が痛む。
「ユチョンくん?何だか私聞いちゃいけないこと聞いた?
もしそうならごめんなさい。言いたくなかったら言わなくていいよ。
好きになるのに理由なんかいらないし。変なこと聞いてごめんね。」
「え、全然!聞いちゃいけないなんてないよ。」
「ホント?何だかすごく考え込んでたし、悲しそうな表情に見えたから…。」
俺、そんな顔してた?
たしかにアメリカにいた頃のことはあまり思い出したくないけど…。
「あ、料理冷めちゃうよ!食べよ。」
*****
「ここの料理美味しいね。連れてきてくれてありがとう。」
「気に入ってくれて良かった。」
たしかに料理は美味しい。
美桜ちゃんに喜んでもらえたし、頑張ってリサーチして良かった。
すげー美味しそうに嬉しそうに食べてるし。こっちもつられていい気分になる。
さっきの話…
俺が音楽好きになった理由…
他の人にはあまり言いたくないけど、美桜ちゃんにはなんとなく話したい。
美桜ちゃんて、本当に美味しそうに食べるよなぁ。
今、美桜ちゃんが食べているのはデザートのチーズスフレ。
そんな美桜ちゃんを見ながら、俺はゆっくりと話しはじめた。
「…俺さ、小6から5年ぐらい…父さんの仕事の都合でアメリカにいたんだ。」
「…うん。」
美桜ちゃんは、チーズスフレを食べる手を止めて俺の話に耳を傾けている。
「行く前は『アメリカは自由の国だ』って思ってたけど、現実は全然違ってた。」
「うん。」
「言葉がわからないから、全然馴染めなかった。そのうち父さんと母さんは離婚するし…。本当に辛かったけど、その辛さを忘れさせてくれたのが音楽だったんだ。」
「うん。」
「アメリカに行く前から音楽好きだったけど。
音楽を聴いている時は、辛いことも忘れて元気になれた。
『音楽ってすごいなぁ。俺も音楽で人を元気にさせたいなぁ。歌手になりたいな』て思った。」
「…すごいね。」
「え、全然すごくないよ。」
「ううん。本当にすごいと思うし、ユチョンくんきっとたくさんの人を元気にさせる歌手になれるよ。
だって、そんな強い想いをもって歌ってる人の歌は、人の心に絶対に届くよ。」
美桜ちゃんは綺麗な目で俺をじっと見てそう言った。
どうしよう…
すごい嬉しい。
ダメだ…泣きそう。
「ユチョンくん!?ご、ごめんなさい!やっぱり私余計なこと聞いたよね!?本当にごめんなさい!」
美桜ちゃんは慌ててそう言うと、俺にハンカチを渡した。
え、まさか俺泣いてる??
「これ使って。」
嘘だろ…。
好きな子の前で泣くなんて…。
男らしくかっこ良くリードしようと思ってたのに、カッコ悪すぎる…。
つづく
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by rin1119a
| 2013-09-17 14:02
| プライド